Photo: Wolf Trap Instagram

 今回のコンサートはミュージカル曲がメイン。ブロードウェイのショーを観ているようなコンサートだったそうだ。ここに出てくる曲はシアターゴウアーなら常識の曲なのだろうか…自分の無知さ加減がちょっと悲しい。歌の歌詞と出典ミュージカルをリンク、歌の背景や意味などを簡単に紹介した。セットリストは単なる曲の羅列ではなくその並びにアーロンなりの物語やメッセージがあると思うので、それを解明できたらいいな、と思う。

セットリスト

オープニングメドレー
1.Oh, What a Beautiful Mornin’ オクラホマ
2.Daybreak (Floyd Collins フロイド・コリンズ
3.The Streets of Dublin (Man of No Importance ダブリン・バスのオスカー・ワイルド(邦題))

オクラホマの農村でさわやかな朝を迎えるカウボーイのカーリー・マクレーン。彼は農家の娘ローリーを今夜のダンスパーティに誘うつもりだ。
ケンタッキーでは、洞窟探検家のフロイド・コリンズが未踏の洞窟に落下して身動きがとれずにいる。弟のホーマーは兄に声をかけながら洞窟のそばで夜を過ごす。「日が落ちても夜が明けても、僕はここにいるよ。」彼は兄が救出される望みが薄いことを知っている。ここにもまた夜明けが訪れる。
そしてダブリンでは、オスカー・ワイルド好きのバスの老車掌アルフィーが、若くてハンサムな同僚の運転手ロビーに自分が演出する芝居に出ないかと誘ったところだ。ロビーは「俺は演技なんかできない。あんたみたいに詩人じゃない。人々のドラマならダブリンの通りのいたる所にころがっているじゃないか」と断る。
今回のコンサートでは様々な場所の様々な人々の絆を描いていくのだろうと感じさせるオープニングだ。

4. Fight the Dragons (Big Fish ビッグ・フィッシュ)
『ビッグ・フィッシュ』はノーバートさんのオリジナルキャストで2013年にブロードウェイで公開されたミュージカル。
“Fight the Dragons”は、セールスマンの父親が長い出張に行く時に、不安がる幼い息子に向かって「ドラゴンと戦ってくるんだ。お前が大きくなったら一緒にドラゴン退治にいって、大手柄を立てよう」と勇気づける歌。アーロンは「この歌は僕の父を思い出させる」と語って歌った。
 歌の後のMCでは、初デートで映画の『ビッグ・フィッシュ』(2003年公開:ティム・バートン監督)を見に行って感動的な父と子の絆に大泣きしてしまい、彼女は呆れて二度と一緒に出かけてくれなかったというエピソードを披露した。

5. Love, I Hear (ローマで起こった奇妙な出来事 A Funny Thing Happened on the Way to the Forum)
スティーブン・ソンドハイム作詞作曲のミュージカル。ローマ貴族の若者ヒーローは隣家の美しい少女フィリアに恋をしている。愛するってこんなふうにため息をついたり叫び出したりするって聞いたんだけど!騒がしくてごめんね。でも知っていて欲しいんだ、と、初めての恋にとまどうかわいらしい若者だ。

6. Proud Lady (The Baker’s Wife)
スティーブン・シュワルツ作詞作曲のミュージカル。パン屋の美しい妻ジュヌビエーブに恋をした侯爵のお抱え運転手のドミニク。彼女は人妻なのに、どうしてお前はそんなに自信満々なのか…。
この2曲でアーロンは、恋に落ちた全くタイプの違う2人の若者を演じた。

7. ディズニーメドレー①
コミカルなメドレー。ジムニークリケット、ベル、ピノキオ、クルエラ、ガストン、ベル、村人と一人で早変わりのようにキャラクターを入れ替えて歌って笑いを取る、芸達者なアーロン。
 When You Wish Upon A Star『星に願いを』 (ピノキオ)
 Belle『朝の風景』(美女と野獣)
 I’ve Got No Strings『もう糸はいらない』 (ピノキオ)
 Cruella De’Ville『町のクルエラ』 (101匹わんちゃん)
 Gaston『つよいぞガストン』 (美女と野獣)
 Belle『朝の風景』 (美女と野獣)

8. ディズニーメドレー②
こちらはしっとりと聴かせるメドレー。
まだ自分は何者でもないけれど、いつか母さんの誇れる息子になるよ(アラジン)
いつか自分を待ち望んでいる人たちのヒーローとなれるように(ヘラクレス)
普通の人のように、日の光の下で人々と手をとりあって暮らしたい(カジモド)
と、未来に希望をはせるダイヤの原石の若者たちの歌。
 One Jump Ahead (Reprise)  (アラジン)
 Proud of Your Boy (アラジン)
 Go The Distance (ヘラクレス)
 Out There 僕の願い (ノートルダムの鐘) 

9. レミゼメドレー
最初の2曲はジョークでさわりだけだけれど、Bring Him Homeは途中で止めてしまうのが本当に惜しいほど美しい。アーロンは将来バルジャンをやりたいと言っていたが、若々しい声なのでアンジョルラスの歌のようにも聞こえる。アーロンジョなら彼の友人みんなのために’Bring Them Home’と祈りそう。22日にはDrink With Meも歌った。映画レミゼのオーディションにはマリウス役のテープを送ったアーロンだけに、マリウスパートも情感がこもっている。

DYHTPSは大合唱。世界を変えようと理想に燃えるアンジョルラスと一緒にDYHTPSを歌えるなんて最高だ。Will you join in our crusade? からの一節は「僕のパートだから黙って!」とソロで歌い、また合唱。アーロンは赤いチーフを振って聴衆を鼓舞した。その後のMCをツイッタのお友だちが聞き取って教えてくれたのだが(ありがとうございます!)、このチーフは2013年アカデミー賞授賞式でのレミゼパフォーマンスの時のポケットチーフだそうだ。

  Bring Him Home(一節)
  I Dreamed a Dream(一節)
 ※Drink With Me
  Do You Hear the People Sing(合唱)
 ※One Day More (一節)

10. ソンドハイムメドレー
 Good Thing Going (Merrily We Roll Along メリリー・ウィー・ロール・アロング )参考参考2
 Finishing The Hat Sunday in the Park with George
Good Thing Goingでは、裕福な成功した作曲家が過去を回想する。彼は成功への道のりの途中で失ってしまった友情や夢や理想、友人たちと切磋琢磨しともに語った若い日々を懐かしむように哀愁を込めて歌う。
Finishing The Hat はちょっと今の私の英語力では謎すぎる…。画家のジョージ(ジョルジュ・スーラ)が画業に熱中するあまり妻のドットに去られてしまう。寂しく思う一方で、そんな個人の幸福よりも芸術を生み出す創造的な満足を優先しようとする(らしい?)。
ここでは、人との絆よりも名声や芸術そのものに魅せられた人々を取り上げているのかな。

11. Sandy (グリース)
グリース・ライブ!でおなじみの曲。ドライブインシアターで高校生のダニーはサンディに迫るが、サンディは怒って帰ってしまう。ひとり残されたダニーは、サンディを想って歌う。

12. Marry Me a Little (Company カンパニー参考
これもまたスティーブン・ソンドハイム作詞作曲のミュージカルより。結婚を勧める友人夫婦たちに囲まれ、3人のガールフレンドがいるボビーが「僕と少し結婚しようよ」と歌う。彼は「穏やかに一緒に暮らす準備はできているよ」と言うけれど、特定の誰かではなくsomeoneというあたり、どことなく人との深い関わりを避けているようで今どきな感じがする。
昨秋公開されたアーロンの主演映画”Better Off Single”のチャーリーのこともちょっと思い出す。

*13. At The Fountain (成功の甘き香りSweet Smell of Success
21日のラスト曲。Sweet Smell of Successはブライアン・ダーシー・ジェイムズ(N2Nオフブロードウェイのパパ)がオリジナルキャストの2002年のミュージカル。
しがないプレスエージェントのシドニーがひょんなことから有力な劇評家JJに気に入られ、「これからは夢に見たような新しい生活が始まるんだ」と希望(野望?)を抱く歌?(英語の壁が高い)

※14. Goodbye キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
22日のラスト曲。おなじみのキャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンより。天才詐欺師のフランク・アバグネイル・ジュニアが、嘘で固めた生活に別れを告げる。この後は彼を逮捕するためにずっと追いかけてきたハンラティとの新しい絆が始まる。

アンコール:It All Fades Away マディソン郡の橋
写真家ロバート・キンケイドは、撮影に訪れたマディソン郡で人妻のフランチェスカと恋に落ちる。4日間の逢瀬の後、彼らは互いを想いながらも別々の道を選び、二度と会うことはなかった。
老いて病を得たロバートは仕事を辞め、生涯ただひとり愛したフランチェスカとの日々を回想する。
世界中どこに行っても、帰るのはあの4日間の君の腕の中。君以外のすべては消えていく。
カントリー調の曲を聴いただけではのどかな曲かと思ったが、意味がわかると、この不器用で繊細な男が彼女を忘れようと世界各地を巡る姿や、それでも彼女だけを鮮明に思い出す様子に、泣ける。


*印:21日のみ ※印:22日のみ

公演データ

2017.01.21(土) 8:00pm  1時間7分,  2017.01.22(日) 7:00pm  1時間12分
The Barns at Wolf Trap 全席指定 382席
1635 Trap Road Vienna, VA 22182

チケットデータ

 一般席 $45.00〜$55.00

 VIP Meet&Greetパッケージ  $310.00
  特典:前から4列目までの席、ショーの前にアーロンとの写真撮影・Q&A、
     ラミネートのVIPカード、サイン入りイベントポスター

 VIP MERCHANDISEパッケージ $135.00
     特典:サイン入りイベントポスター、Aaron Tveit CD

2016年8月5日にコンサート開催予告、
約2週間後から販売開始、
10月末SoldOut
1/6に8列目と11列目、1/18に5列目の空席放出

ブートレグリンク

会場は撮影禁止だったので、ツアーがすべて終わるまでは直リンクは控えるが、こちらのタンブラに両日の動画や音声が一覧でまとめられている。
Wolf Trap 2017: A/V Links 

記事

コンサート前 フェアファクスカウンティ タイムズ

“「ミュージカルでは第四の壁を破ることはほとんどないけれど、コンサートなら観客と繋がれて、上手くいけばその夜を一緒に作っていくことができるだろう」”
“ツアーに続いて、彼はまだ話すことができない2つの進行中のことがある。”

https://www.fairfaxtimes.com/articles/next-to-normal-star-heads-to-wolf-trap/article_49e29fc6-df2d-11e6-a12f-bf45f450d720.html

コンサートレビュー DCメトロシアターアーツ

“最近のコンサートがポップなスタイルだったのに対し、このコンサートはファンがこの才能あるパフォーマーと最初に恋に落ちたブロードウェイに戻ってきたといえる。”

Whereas many of Tveit’s recent concerts have been in the style of pop cabarets, this show brought it back to Broadway where fans first fell in love with this talented performer.

DC Theater Arts
Review: Aaron Tveit at The Barns at Wolf Trap