(screen shot from https://youtu.be/31gEekifXXM?t=4159)
🎄クリスマスと言えば、キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのChristmas Is My Favorite Time Of Yearのシーンでしょう。
アーロンのファンになりたてのころ、英語もよく聞き取れないままCDを聴きまくっていたら、長年のファンのツイッタのお友だちがこの歌の”Just do it”がすごくいい、と教えてくださいました。よくよく聞いたら、この一言に万感の思いがこもっていました。じーんときました。
🎄原作映画のクリスマスの電話のシーンは、「話す相手がいないんだろう」と言われたフランクがむっとして電話を切ってしまいます。”Look out the window.”のくだりはミュージカルオリジナルの演出で、アーロンはしみじみとしたいい演技をしていました。
ブートレグ
※観客撮影の舞台動画(非合法)。アメリカでも劇場での動画撮影は禁止されています。このサイトはブートレグを推奨するものではありません。
Catch Me If You Can Broadway ’11 (クリスマスイブの電話のシーンから再生) https://youtu.be/XPuCJTiyN7g?t=3911 📹 Camille P. on YouTube
こちら↓はシアトルトライアウトでの同シーン。BWとは少し趣が違います。序盤でハンラティがフランクに「話す相手がいないから電話してきたんだろう」と言い、フランクが「あなただってクリスマスに仕事してる」と言い返すと「俺は仕事じゃないぞ。パーティだ。ヒューヒュー」と一人ではしゃいで、虚しさのあまりバッタリ机に突っ伏すので、もうおかしくておかしくて。あと、パパとママが歌う場面で、受話器を胸に押し当てて遠くを見るフランクが可愛らし過ぎです。
Catch Me If You Can ~ Pre-Broadway (Act 1) (クリスマスイブの電話のシーンから再生)
https://youtu.be/31gEekifXXM?t=4159 📹OmigodYouGuys12 on Youtube
対訳
🎄BW版の脚本を手に入れたので、このシーンを訳してみました。(「ミュージカル名 libretto」で検索すると、いろいろなミュージカルの脚本が見つかります。)相変わらず英語の壁が高くて、読み取り違いもあると思います。教育用の試訳ですが、歌詞の全訳を掲載するのは著作権に触れる可能性があるため、こっそり公開です。お楽しみください。
ロサンゼルスのホテルでFBIに踏み込まれたフランクは、シークレットサービスのバリー・アレンと名乗ってハンラティをだまし、まんまと逃げおおせた。
クリスマスの夜、家族持ちの同僚たちを家に帰したハンラティは、一人警察署に残って仕事をしている。そこに電話が鳴る。
HANRATTY
This is Hanratty. Merry Christmas.
ハンラティだ。メリークリスマス。
(Lights on Frank Junior at a pay phone.) (電話ボックスにいるフランクにライトが当たる)
FRANK JUNIOR
Hello, Carl.
やあ、カール。
HANRATTY
Who is this?
誰だ?
FRANK JUNIOR
I’ve been trying to track you down. Merry Christmas.
やっと見つけた。メリークリスマス。
HANRATTY
Barry Allen, Secret Service! What do you want?
バリー・アレン!シークレットサービスの!なんの用だ!
FRANK JUNIOR
I want to apologize for what happened out in Los Angeles.
ロサンゼルスでのこと、謝りたくて。
HANRATTY
Yeah? Screw you.
あぁ?くそくらえだ。
FRANK JUNIOR
Carl, I’m sorry if I made a fool out of you.
カール、笑いものにしてしまったなら謝るよ。
HANRATTY
Goddamn it, you don’t feel sorry for me. The fact is, I knew it was you. I did. Maybe I didn’t pull the trigger but I knew.
このやろう、悪いなんて思ってないくせに!本当はな、お前だとわかっていたんだ。引き金は引かなかったが、俺にはわかってた。
FRANK JUNIOR
People only know what you tell them.
みんなはそう思ってないよ。
HANRATTY
Then tell me something: how did you know I wouldn’t look in your wallet?
どうして俺がお前の財布の中を見ないとわかった。
FRANK JUNIOR
I didn’t.
わからない。
HANRATTY
You’re gonna get caught, you know that, don’t you? One way or another. Just like Vegas—the house always wins.
どのみち、お前は逮捕される。わかっているだろう?ベガスと同じだ。—かならず胴元が勝つ。
FRANK JUNIOR
I didn’t think I’d get you in. It’s Christmas. I thought maybe you had a family?
僕は捕まらないよ。今日はクリスマスだ。家族がいるんでしょう?
HANRATTY
No. No family.
いや。家族はいない。
FRANK JUNIOR
Me either.
僕もだ。
SONG: MY FAVORITE TIME OF YEAR
HANRATTY
YEAH, DON’TCHA LOVE THE YULETIDE FUN
THERE’S JOY AND CHEER FOR EVERYONE
I WAIT FOR SANTA WITH A GUN
YES, CHRISTMAS IS MY FAVORITE TIME OF YEAR
なあ、楽しいクリスマスは好きじゃないだろう?
誰もがはしゃいで喜んでいる。
俺は銃を持ってサンタを待ってる。
そう、クリスマスは一年で一番お気に入りの季節だ。
FRANK JUNIOR
SOME SUGAR PLUMS I HAVEN’T KISSED
BUT MISTLETOE I MUST RESIST
CAUSE I’M ON ST. CARL’S MOST WANTED LIST
まだキスしてないかわいい子たちがいるけど
ヤドリギの下に行くのは我慢しなくちゃ
だって僕は聖カールの最重要指名手配リストに載ってるからね
🎄シュガープラムはクリスマスのスイーツ。転じてcute,sweetな人という意味がある。クリスマスの日にはヤドリギの下では誰にキスしてもよいという風習がある。
BOTH
YES, CHRISTMAS IS MY FAVORITE TIME OF YEAR
そう、クリスマスは一年で一番お気に入りの季節だ。
(Lights on Frank Senior and Paula, separately.)
(フランク・シニア(パパ)とポーラ(ママ)に別々にライトが当たる)
HANRATTY, FRANK JR, FRANK SR, PAULA
AND THERE’S A HOME
WHERE YOU CAN’T GO
そこには家庭がある
君にはもう帰ることのできない
AND THERE’S A LIFE THAT’S FULL OF LOVE
YOU USED TO KNOW
そして愛に満ちた人生がある
君がかつて手にしていた
HANRATTY
FOR ME IT’S TRUE
俺にとっては、真実だ
FRANK SENIOR
BUT KID, NOT YOU
だが息子よ、お前は違う
PAULA
CAUSE YOUR FAMILY’S HERE
あなたの家族はここにいるのよ
FRANK SENIOR & PAULA
YEAH, THEY’RE STILL YOURS TO HOLD
IF YOU …
そう、彼らはまだあなたのもの 抱きしめるためにいるの
もしあなたが…
FRANK SENIOR & PAULA & HANRATTY
COME IN FROM THE COLD
この寒さから戻ってきたら
🎄ああ〜。パパとママが歌っているのにWeじゃなくてTHEYってことは、これはフランクの願望なのか…😢
(Lights fade on Frank Senior and Paula.)
(フランク・シニアとポーラのライトが消える)
HANRATTY
SO, IF TOMORROW SANTA’S FLOWN
THE TREE IS DOWN AND YOU’RE ALONE
I’M ALWAYS HERE, RIGHT BY THE PHONE
もし明日、サンタクロースが飛び去って
ツリーは倒され、お前が一人になっても
俺はいつもここにいるぞ。電話のすぐそばに。
FRANK JUNIOR & HANRATTY
YES CHRISTMAS IS MY FAVORITE TIME OF YEAR
そう、クリスマスは一年で一番お気に入りの季節だ。
HANRATTY
Wait a minute. Wait a minute. You didn’t call me to apologize, did you?
まてまて、お前、謝るために電話してきたんじゃないだろう?
FRANK JUNIOR
What do you mean?
どういう意味?
HANRATTY
You’ve got no one else to talk to.
誰も話す相手がいないんだろう?
FRANK JUNIOR
(half beat)(少し腹を立てて)
I have to go.
もう切るよ。
HANRATTY
Frank! Wait!
フランク!待つんだ!
(Frank Junior almost hangs up the phone. But stops. While Hanratty waits on the other end of the phone, Frank Junior covers the mouthpiece and turns to us.)
(フランクは電話を切りそうになるが、思いとどまる。ハンラティが電話の向こうで待っている間、フランクは受話器を覆って私たちの方を向く)
FRANK JUNIOR
Mister Hanratty was right. It was a lonely life. But I was about to meet someone, and she was gonna change everything. Everything.
ハンラティは正しかった。僕はひとりぼっちだった。でも僕はもうすぐある人に出会う。彼女がすべてを変えてくれる。すべてを。
(Lights on Brenda. She stops and looks in ourdirection, dreaming.)
(ブレンダにライトが当たる。彼女は立ちどまってこちらを見る。夢みるように)
But right now … Tonight …
でも今は…今夜は…
HANRATTY
Frank?
フランク?
(Brenda fades. Frank Junior turns back to the phone.)
(ブレンダは消え、フランクは電話に戻る)
FRANK JUNIOR
I’m still here.
聞いてるよ。
HANRATTY
Sooner or later you’ll get tired of running.
いつかは、お前は逃げるのに飽きてくるさ。
FRANK JUNIOR
Sooner or later you’ll get tired of chasing me.
いつかは、あなたは僕を追いかけるのに飽きてくるよ。
HANRATTY
No I won’t.
いや、あきらめんぞ。
FRANK JUNIOR
Look out the window.
窓の外を見て。
HANRATTY
Why?
なんでだ。
FRANK JUNIOR
Just do it.
いいから…。
(He sings.)(歌う)
I’LL CALL YOU SOON, BUT WHO KNOWS WHEN
すぐまた電話するよ。いつかわからないけど。
HANRATTY
AND, FRANK, I HOPE WE’LL MEET AGAIN
LIKE WHEN YOU’RE SERVING EIGHT TO TEN
フランク、また会いたいものだな
お前が8〜10年服役しているときなんかにな。
BOTH
YES, CHRISTMAS IS MY FAVORITE TIME OF YEAR
そう、クリスマスは一年で一番お気に入りの季節だ。
(Hanratty sees Frank Junior in the pay phone booth. Frank Junior jumps off the stage and disappears up the aisle of the theatre.)
(ハンラティは電話ボックスのフランクを見る。フランクはステージから飛び降り、劇場の通路に消える)
HANRATTY
(to himself) (自分自身に)
He’s a kid.
やつは子どもだ。
(to us)(私たちに)
He’s a kid.
まだ子どもなんだ。
SONG ENDS.
END OF ACT ONE 第1幕終わり
見どころ聴きどころ
🎄家族が集まる聖なる夜、フランクはひとりぼっちで、でも自分に関わるひとはずっと追いかけてくるハンラティしかいなくて、電話をかける。しかも警察署のすぐそばの電話ボックスから。「話す相手がいないんだろう。いつでも電話を待ってる」と言われて、どうしてもハンラティの姿を見たくなって「窓の外を見て」と言う。
大人なら、自分の顔がばれそうなことは決してしない。でも「なんでだ」「いいから…」とハンラティが窓辺に立つのを見つめて待つところが、ああまだ子どもなんだ、と思わせる。
ハンラティが窓を拭いて顔を寄せたのを見て一瞬おもてを伏せるけれど、もう一度顔を見てから街に消えていく。ハンラティはその姿を見て「やつは子どもだ…まだ子どもなんだ」と気づく。
大人のふりをして他人を欺いてきたフランクが、人恋しさをおさえきれずにハンラティの前に姿を現し、明日からまたひとり背伸びをして生きていくんだな、という余韻を残して姿を消す、心の機微を感じられるところが好きです。
2014年,15年に日本で上演された時も大いに期待して観に行きましたが、それぞれ異なる演出がされていました。
2014年の東宝版のフランクは、顔を見せたハンラティに「おーい!」と手を振っちゃうお調子者。松岡フランクのキャラクターには合っていたので、まあいいのですが(笑)。
2015年の宝塚版は、雪が降ってきたのを見たフランクが「外を見て!いいから〜!」と手を広げてはしゃぎ、それを見たハンラティが「やつは子どもなんだ」と…。少女歌劇的な美的描写かもしれませんが、17,8歳の天才青年のすることとは思えず、どうにも残念な感じでした。
侘び寂びを感じるブロードウェイ版がいちばん好きかな。