OPEN STUDIO WITH JARED BOWEN Season 7 Episode 2 | 26m 46s
Emerson Colonial Theatre & “Moulin Rouge! The Musical”
https://www.pbs.org/video/emerson-colonial-theatre-moulin-rouge-the-musical-qmj38v
エマーソンコロニアルシアターがリノベート後の再オープンをするにあたって、ブロードウェイでヒットした作品の多くが、この劇場で初演をした歴史を掘り下げる紹介番組。アーロンとカレンが「ムーラン・ルージュ」のワールドプレミアについて話しています。
06:50より11:40まで
インタビュアー:サティーンの住む世界はどんなところですか。
カレン:はみ出し者の集まり、というところかしら。非常にユニークだったり、才能があったり、でもどこにも居場所がなくて、ムーラン・ルージュをただ一つの家だとお互いに思っている者たちが集まって、普通の人たちのために夜ごと魔法を繰り広げているの。
インタビュアー:その中でサティーンはどんな存在ですか?
カレン:彼女は寮母さんね。みんなのママみたい。多分一番年上で、ライオンの仔たちをひとまとめにしていくような役割なの。
インタビュアー:クリスチャンはどこからその中に入るのですか?彼はどんなふうにこの世界を見ていますか。
アーロン:そこはぼく(クリスチャン)の最高に奔放な想像をはるかに超えた世界だと思います。ぼくは全く違う場所から来ました。20世紀初頭のアメリカ中西部、おそらく寒々とした産業革命の世界で、その中でぼくはどこかに行きたいと切望する芸術家の魂を持っていて、でもそんなところが存在するかどうかすら知らなかった。そしてひょっこりとこの信じられないような世界に顔をだします。そこはぼくの想像できる限りの奔放さをはるかに超えた場所だったんです。
「彼」ではなく「ぼく」。すでにクリスチャンとして生きてるアーロンw。
オハイオ出身ってそういうことか。劇中で息の詰まる社会から逃げてきた、と言っていました。当時でもニューヨークならきっと色々な生き方をしていたひとがいたのだろうけれど、クリスチャンの育った場所はもっとおかたくて、枠から外れた生き方など許されなかったのでしょう。 そんなところからあの猥雑な世界に飛び込んだんだね!ショーの冒頭、クリスチャンがムーラン・ルージュの踊り子たちに驚きながらも(ちょっと腰が引けてたw)新しい世界を楽しんでる様子を思い出しました。
インタビュアー:今の時代と似ているところはありますか?こんなことの目撃者になったり巻き込まれたりしたことはありますか?
カレン:ええ、舞台の世界はムーラン・ルージュの世界と似ているところがたくさんあると思います。ある意味、わたしたちはみんな別々の人生を同じ思いを持って歩んできて、夜毎集まりすべての力を出しあって、想像もできないようなものを作り上げているの。
アーロン:そうだね。
インタビュアー:あなたがたが、異なるバックグラウンド、感受性、才能をもったアーティストの集団に加わった時、どんなことが起きましたか?
アーロン:最高に素晴らしい才能を持った人々が集まってきました。ずらりと並んだ様々な才能が、ひとつのこと、ひとつの目的のために、ショーを創り出そうとするためにです。それは本当に見ものでした。
インタビュアー:あなた(アーロン)が思いを同じくする人たちと一緒になってその発見の瞬間に立ち会うことは、アーティストとしてとても大切な部分に違いありませんね。 それはあなた(カレン)の中からも、なにか新たなものを引き出したのではないでしょうか?
カレン:もちろん。たとえば、私はいつも言っていました。「私はアーロンと歌うのが好きよ。彼の声には何かがある」本当にわたしの中で何かの引き金を引くようなものが彼の声にはあるんです。そしていつもこんなふうに思うの。「あら!私こんな事ができるのかしら!」そして始めるの。私たちは歌っている間、紙つぶてみたいなの。それは本当に不思議だったわ。
アーロン:いつもじゃないよ。
カレン:いつもじゃないけど、それが起きると「これは…これは魔法だわ」という感じなの。それは決して手放してはいけないものなのよ。
アーロンの声には「何かがある」。カレンがとても大切なことを言ってくれています。いつもじゃないよって謙遜するアーロンが😊。
インタビュアー:「紙つぶて」とおっしゃった意味をもう少し教えてくれますか?どんな自由を突然に得るのでしょうか。
アーロン:舞台の上で生きるということは異なる瞬間を探すことだと思います。ぼくたちが歌っているときになにかが起こるんです。思いもかけない、予定していなかったことが。それがうまくいくと他のものがぽんと飛び出してくるんです。ちょうどそうすることになっていたみたいに。
アーロン、舞台の魔法をうまく表現するなぁ〜。その瞬間に立ち会いたくて、何度も通ってしまうんですよ…。
♪Come What May
インタビュアー:お二人の歌う歌について教えてください。映画ではたくさんの曲やマッシュアップが使われていることはよく知られています。とくにこれらのポップソングを通してもたらされるクリスチャンの経験には、どんな言葉が当てはまりますか。
アーロン:とても面白いですね、ぼくはとても楽しんでいます。これらの曲をぼく(クリスチャン)が書いたというアイディアをね。全部ではないけれど、ショーの中の多くの曲が、ぼくのアイディアのようなものなんだ(笑)。第2場のいくつかの曲で、ロートレックを演じるサーとぼくが舞台にいるとき、サイドラインのおしゃべりで歌の歌詞が不意に出てくるんだけど、彼はこんなふうに「(フランス語のアクセントで)天才だ!」って言ってくれて、ぼくは「ありがとう!」って言うんだよね?(カレン大笑い)すごくおもしろいよ。
アーロン、ロートレックのものまねうまいwww。
アーロン:それにしても音楽チームが成し遂げたことは…ポップミュージックを舞台で使うのは、時にとても難しいんです。なぜなら歌詞が(場面と)違っていたり、ポップソングの中では歌詞が必ずしも重要ではなかったりするので。でも今回使われている曲や歌詞は、物語にとても効果的に働いています。みなさんは「あっ、これはあの曲だ」と思うでしょう。そしてすぐにその歌や歌詞が物語を推し進めていることに気がつくでしょう。音楽チームが成し遂げた仕事は、本当に素晴らしいです。
インタビュアー:あなたはどう思いますか。サティーンは、この音楽をどんなふうに受け取っていますか?彼女はこのすっかり夢中になっている求愛者と、どうやって親密な関係を育むのですか。
カレン:私はサティーンは何もかもを見てきたと考えています。すべての角度から見ることを知っている。それは彼女の仕事の一部なの。ただひとつ彼女が距離を置くことができなかったのが、彼の詩と彼の声の純粋さだった。 それは、サティーンとしての私にとって、すべてが開放されるような音楽でした。私の見ている世界を本当に変えたの。これまで人生をずっと過ごしてきた自分の部屋が、いま急に、全く違って見えるんです。
ここで初めてカレンがサティーンを「私」と呼んだ。クリスチャンの声が自分の見ている世界を瞬時に変えた、って、ほんとそれ。
インタビュアー:シーンの重要な要素である実在のムーラン・ルージュや登場人物については研究しましたか?たとえばトゥールース=ロートレックとか。
カレン:ロートレックについて言えば
アーロン:ぼくたちのロートレックはこの舞台専任の歴史学者みたいだったよ。
カレン:本当にそうね。
アーロン:サーは当時の世の中や実在の人々やロートレックについての素晴らしい知識をどんなに小さなことでもみんなに教えてくれた。彼は素晴らしかったよ。そのことで完全に僕たちを導いてくれたんだ。
インタビュアー:映画はどのように活用しましたか?お二人とも映画のムーランルージュはご覧になったと思いますが。この何年か沢山の人と話してきて、あの映画を心に留めておきたいけれど、ただの真似にはしたくないと思っているでしょう。どんなふうに映画を活用しましたか?
カレン:そうね、私は映画の大ファンだったの。クリスチャンとサティーンがキスしている大きなポスターをダイニングルームの真ん中に貼っているほどね。 ご存知の通り私達はたくさんの作品に出てきました。彼は「カンパニー」を演じたし、私は「ウエストサイドストーリー」を演じた。自分が愛し、魅了され、ファンになっている作品がある。でももしそこに入って表現するチャンスを得たら、愛している物事に敬意を持たなければ。そしてなにか違いを作り出す勇気を持たなければならないの。
アーロン:バズは信じられないようなすばらしい世界を作り上げました。そして、ぼくたちは自分たちなりのやり方で物語を語ろうとしています。この世界は実在する。クリエイティブチームは素晴らしい仕事をして、この場所にその世界を存在させました。あとはぼくたちの仕事なんです。このなかに独自の道を見つけることが。
インタビュアー:映画の役がすでにあるうえで、お二人は舞台の役を作っていくというのは興味深いですね。そのプレッシャーは高いですか?
カレン:いまそうおっしゃるまでは感じてなかったわ。 (全員笑)
アーロン:以前にもそういう機会がありました。特に舞台俳優であることは、そのような状況の中で生きていくことと言えます。年をとればとるほど、プレッシャーはわずかで遠いものだと気づくんです。
カレン:そうね。
アーロン:すべての機会を手に入れたいと思ったら、自分のできるすべてを与えるんです。この新しいプロダクションに関わっていくために。
カレン:名誉は私にとっては全く関係なかったわ。毎朝目覚めると「ああ、これをやれるのね」と思うの。「私はこの瞬間のために選ばれたのね」というふうに。
アーロン:そうだね。
カレン:ええ、本当にすばらしいわ。
アーロン:プレッシャーはないね。
カレン:そう、プレッシャーは感じないわ。(笑)
インタビュアー:最後に、私たちはいま、数多くの作品のトライアウトが行われてきたこの歴史的な劇場にいますが、この時をどう感じますか?ショーの準備ができ、全てが変わって、観客がやってくる時を。
カレン:心配するよりもむしろとてもワクワクしているわ。私たちが作り上げたものは本当に美しくて、みんなが愛してくれると信じているから。
アーロン:ぼくは個人的には、何が起こるかについてはどんな想定も持たないようにしています。観客はとても重要な一員です。ぼくたちはこの作品をまだ学び続けていて、まだ観客を入れたことがない。この世界を創り上げようとしていく中で、この作品のトーンで働いていて、それが本当にうまく作用するかどうかはまだわからない(笑)。観客がここに来てくれるまではね。 それにぼくはすごい大根役者なんだ。観客が来てくれるのが待ちきれないよ(笑)。
カレン:ほんとよ(笑)。