レビューからすでにネタバレ気味ですのでご注意ください。
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レビュー(概略)
『CHESS The Musical』2025年ブロードウェイ・リバイバル版は、ダニー・ストロングによる新脚本。オリジナルの制作チーム:ティム・ライス(作詞)と、作曲のABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァース(作曲)公認の、37年ぶりのブロードウェイ公演です。
主役のアーロン、リア、ニコラスの3人はもちろん、キャスト全員歌が本当にすばらしい!今回初めて「banger(バンガー:最高に盛り上がる曲・名曲)」という英単語を覚えましたが、このミュージカルはまさにバンガーにつぐバンガー。40年来の根強いファンがいるのも納得です。
いままでわかりにくいと言われてきた脚本も、新脚本では話が整理されて登場人物に共感しやすくなっており、一人一人の心情が深く胸に迫って感動しました。
1986年のロンドンプロダクションは、私が思うには「冷戦とチェスを舞台にした国際的ロミオとジュリエット」。「同じゲームをしながらも誰もルールは同じでない。誰も誰の味方でもない。結局、人は国家の駒でしかなかった」というテーマは当時は斬新で、皮肉なニヒリズムはあの時代の気分にマッチしていたと思います。音楽がヒットしてからミュージカルが作られたためか、物語の流れがぎこちなく、登場人物の行動は動機がわかりにくく共感しにくいものでした。常にキレ気味の傲慢なアメリカ人に、祖国の妻子を捨てて出会ったばかりの女性と亡命するロシア人とか、どうなの。
2025年、分断があらゆるところで起きている時代のBWリバイバルのテーマは「国家の歪んだイデオロギーに翻弄されながらも、『最善手 best move 』を選択していく人々の物語」だと思います。
冷戦時代に実際に起きた事件を背景に取り入れることで、各人の行動の動機がわかりやすくなり、人物像が深まって単純な悪役はいなくなり、黒雲のように覆ってくる政府のイデオロギーに人々が翻弄される緊迫感が高まりました。その中で、ひとりひとりが最初に望んでいたようなしあわせは得ることができないかもしれない。しかし、それぞれが自分の信念に従い、最も大切にしていたものを手放して「一手」を指した先に、小さな奇跡が起きるような物語です。
随所に笑いやユーモアもちりばめられ、素晴らしい歌に聴き惚れているとあっという間に2時間半が経ってしまいます。
これほどの構想の物語は、2時間半の舞台では短すぎる!ぜひこれをテレビドラマか映画にして欲しい。映像として制作するなら、歴史的背景や状況がさらにわかりやすくなると思います。もちろんキャストは全員今のままで!
登場人物
2025年版の新脚本に沿った人物像なので、他のプロダクションに当てはまるものではありません。
フレディ・トランパー Freddie Trumper

アーロン・トヴェイト Aaron Tveit
フレディは無類の強さを誇る現・世界チャンピオンのアメリカ人グランドマスター。天才的な腕を持ち、対戦相手を侮辱する問題発言も多い彼は、チェス界の悪童として国際的な注目を集め、どこに行ってもファンやマスコミに追いかけられます。
自信満々で傲慢な彼は、躁鬱病、現代でいう双極性障害を抱えています。世間のバッシングに傷つき、薬を飲まないと極度のうつ状態に陥ってしまいます。
音や光にも敏感で、ソ連の妨害工作に感情をコントロールできなくなり、試合を中断してしまう場面も。フローレンスの献身のおかげで精神の安定を保って試合ができているにもかかわらず、些細なきっかけで爆発して彼女を罵ってしまい、愛していると伝えることもできずにいます。
フローレンス・ヴァッシー Florence Vassey

リア・ミシェル Lea Michele
フローレンスはフレディのセコンド(コーチ)で、彼女自身もグランドマスターになれる実力を持つ、世界有数のチェス理論家です。
ハンガリー出身で、10歳の時のハンガリー動乱でソ連軍に父親を連れ去られ、目の前で母親を殺されるという過去を持っています。
彼女はフレディの恋人でもあり、躁鬱の激しい彼を7年間も公私に渡って支え、共依存的な関係に陥っています。そんな中で彼女はアナトリーに出会い、彼の誠実さに安らぎを感じます。
アナトリー・セルゲイエフスキー Anatoly Sergievsky

ニコラス・クリストファー Nicholas Christopher
アナトリーはロシアのグランドマスターで、世界チャンピオン挑戦者。
幼いうちに家族から引き離されチェスを叩き込まれて、勝つためだけに生きてきました。
チェスの強さが国の強さとするソ連で、彼は恵まれた生活を保証されていましたが、内心では生きている実感がつかめず自殺願望を抱えています。
自分自身を「勝つためのチェス・マシーン」と呼ぶ、あまり感情を露わにはしないけれど、誠実でユーモアもある男。フローレンスと出会って愛を知り、感情や人間性を取り戻していきます。
スヴェトラーナ・セルゲイエフスキー Svetlana Sergievsky

ハンナ・クルズ Hannah Cruz
アナトリーの妻。かつてはアナトリーとともにロシア社交界の花形でしたが、彼の亡命によって「裏切者の家族」と冷遇される境遇に転落。蔑まれいじめられる子どもたちを救うためにKGBに従い、アナトリーを動揺させ、国に連れ帰る駒としてバンコクにやってきます。
チェスの試合に没頭して家庭を顧みなかった夫アナトリーを憎みつつも愛している、芯の強い女性。
登場人物の中で最も弱い立場の彼女が(気はめっちゃ強いですけれども)つぶやく一言が、ゲームの流れを変えたと私は思うのです。
フローレンスとアナトリーは、物語が始まる前にストックホルム大会で出会い、アナトリーはフローレンスに恋をし、フローレンスも彼を憎からず思っていました。メラーノ大会で再開した二人は、お互いを想う気持ちが本物だと気づきます。しかし、フローレンスにはフレディがおり、アナトリーにも形式的とはいえロシアに妻と子どもがいる。フレディは言葉にはできないもののフローレンスを愛しており、アナトリーの妻スヴェトラーナは、子どもたちのためにもアナトリーを取り戻したい。この二重の三角関係が物語の横軸です。
そして縦軸は、チェスの勝敗を国益のために操ろうとするアメリカとソ連のスパイの暗躍。「ロシアがチェスの王者になるかどうか」という試合の行方と、歴史の上で現実にあった核削減条約の締結や核ミサイル発射の阻止が絶妙にリンクして、緊迫感を高めます。
アレクサンダー・モロコフ Alexander Molokov

ブラッドリー・ディーン Bradley Dean
ソ連を代表するのは、アナトリーのチェスのコーチでKGBのモロコフ。ロシア人らしい情の厚さと冷酷さをあわせ持つ、策略家のイケおじ。
チェスこそ現代の戦争、チェスの覇権はソビエトが握らねばならない、という強い信念を持っています。表の顔は礼儀正しい紳士ですが、裏ではどんな姑息な手や恫喝を使ってでもソビエトが勝つように画策します。なぜなら、敵に負けた選手は祖国に恥をかかせたとして「消されて」しまうからです。モロコフはアナトリーが幼い頃からずっとチェスを教えてきたので、彼を息子のように大切に思っています。(というかこの人、アナトリーに限らず不幸な子に心を寄せる、根は気のいいおじさんではないかしら。そうするとラストに納得がいきます)
ウォルター・デ・コーシー Walter de Courcey

シーン・アラン・クリル Sean Allan Krill
アメリカを代表するのは、CIAのウォルター。キングズマンのような風貌の、絶妙なユーモアの持ち主。
登場時に「こいつはちょっと嫌な奴だ」と紹介されるとおり、彼にとってはチェスの勝敗はどうでもいい。大統領選に有利になる核削減条約を締結させるためなら、ロシアに勝たせるために、自国の選手であるフレディの足を引っ張ることも平気でやります。しかしそれは、自分の子どもに「核の冬」を味あわせたくないためだと言います。ところがその言葉も、相手によって息子とか娘とか使い分けているので、本当かどうかはわかりません。その腹の読めなさがスパイっぽい。(彼に双子の息子と娘がいることに3000点賭けます)
登場人物の中でただ一人持ち歌がないのをアービターにからかわれます。
ジ・アービター(裁定者)The Arbiter

ブライス・ピンカム Bryce Pinkham
アービターは、ナレーターとして皮肉とユーモアたっぷりに、愛と陰謀と歴史が入り組んだ「冷戦ミュージカル」のストーリーを導きます。
チェスの試合においては64マス全てに目を光らせ、不服申し立てには丁寧に耳を傾け、厳格で公正な判断を下す切れ者の裁定者となります。
彼のスナップでストーリーが動き始め、最後のスナップで物語が終わります。
あらすじ(作成中)
第1幕
時は1979年。アメリカとソ連は、わずか数時間で地球全体を滅ぼすのに十分な核兵器を保有していた。人類文明の終焉を防ぐため、両国は代わりに冷戦状態に突入した。民主主義と共産主義、握手をしながら水面下では相手を叩き潰し、優位を示そうとするイデオロギーの対立。チェスの対局にさえ危険が潜む困難な時代だ。(“Dangerous and Difficult Times”)
アービターが現れ、観客を史上稀な「冷戦ミュージカル」にいざなう。
最初に紹介されるのは、ロシアのグランドマスター、アナトリー・セルゲイエフスキーとコーチでKGBのアレクサンドル・モロコフ。
モロコフは、騒音や催眠術師を使って敵のフレディ・トランパーの集中力を乱す作戦を伝えるが、アナトリーは不正行為などしないと断る。モロコフはアナトリーの親友のボリス・イワノビッチがフレディに負けて「消された」ことを思い出させ、「私はお前が幼い時から育ててきた。お前に彼のような末路を辿らせたくないのだ」と言う。

しかし、アナトリーは「すでに死んでいる者を処刑することはできない」と答える。彼はロシアでのチェスの王者として恵まれた生活を保障されているが、自由も自分の感情も見失い、どこにも行き着くことができない孤独と焦燥感を抱えている。(“Where I Want to Be”)

次に紹介されるのは、アナトリーと対戦する現世界チェスチャンピオン、アメリカ人のフレディ・トランパー。彼は11歳でチェスのグランドマスターになり、今では双極性障害を患っている。薬を飲むのをやめると、悪評に傷つき起き上がることもできない極度のうつ状態になる。(“Pity the Child #1”)
フレディのセコンドは、美しく聡明な世界有数のチェス理論家、フローレンス・ヴァッシー。フローレンスは倒れているフレディを発見し、彼が成し遂げてきたチェスの最善手を思い出させ、彼に薬を飲む気力を取り戻させる。

ようやくフレディは薬を飲むことを受け入れ、アービターが差し出す薬を飲む。途端に饒舌になり、対戦相手を罵る言葉が止まらない。フローレンスは彼を上手くあしらい、試合でも記者会見でも相手の悪口を言わないことに合意させ、イタリアのメラーノに向かう。
イタリア南チロル地方の温泉保養地、風光明媚な美食の町メラーノ。市民たちがその美しさを讃える。(“Merano”)

そこにフレディとフローレンスが到着し、市民たちに熱狂的に迎えられる。称賛されるのが好きなフレディは上機嫌。(“What a Scene, What a Joy”)

対局前の記者会見。フレディはソビエトにも敬意を払った自信満々の受け答えを見せ、フローレンスを安心させる。ところが、次の質問が、彼のスイッチを入れてしまう。

「あなたは精神病でしょう。でなければ、優れた訓練を受けたソビエトチームを打ち破った唯一のアメリカ人だ」
「優れた訓練ってのは、幼い頃に家族から引き離され、子供時代を檻の中のネズミのようにして訓練されることか?コミュニスト政権は、国民に対して残酷なのと同じように、チェスプレイヤーに対しても残酷なんだ!」
フローレンスが止めるのも聞かず、フレディは怒りをぶつける。
「俺がアナトリー・セルギエフスキーを負かしたら、KGBがあいつをボリス・イワノヴィッチと同じように消すだろう。グランドマスターが地上から消えたのに、お前らは俺をバッシングするのに忙しくて報道すらしなかった!」
記者たちは猛反撃を始め、口々にフレディを追い詰めていく。ついにフローレンスが前に出て一喝し、記者会見を終わらせる。フレディは捨て台詞を吐いて去る(“Press Conference”)
一部始終を見ていたアナトリーがフローレンスに近づく。二人はぎこちなく一年ぶりの挨拶を交わす。話しているうちに距離が縮まり、アナトリーは毎日彼女を想っていたと伝える。なぜフレディと一緒にいるのかと問われたフローレンスは「彼は世界一のチェスプレイヤーだから。それに、私は彼を愛している」と伝える。
一方、国際的な陰謀の場では、CIAエージェントのウォルター・デ・コルシと、KGBのモロコフが密談を始める。フレディの暴言がマスコミに報じられたことで、ソビエトはSALT II条約の核軍縮交渉の席を離脱。このままでは条約そのものが破棄されかねない。アメリカにとっては、大統領選を見据え、条約締結という成果がどうしても必要。一方のソビエトは、チェスの世界王者の座を手に入れたい。交渉再開を条件にCIAとKGBは手を組み、フレディ・トランパーを倒すという密約が交わされた。

ここでアービターは、謙虚な語り手から、厳しく公正な裁定者に変身する。(“The Arbiter”)
国際チェス連盟世界選手権が始まる。対局前の握手を求めるアナトリーをフレディは無視する。
二人が一手を打つごとに、彼らが決して外に出すことのない、内心の声が聞こえる。怒りがコントロールできない葛藤、離人感、自殺願望。
フレディの強さがアナトリーを上回ると、彼への妨害工作が始まる。アナトリーが出す唸り声やテーブルを叩く音に加え、CIAが仕込んだ電灯のノイズが高まり、音に敏感なフレディを苦しめる。ついに彼は「こいつはイカサマ師だ!ソビエトがフェアな試合をするまで、俺は続けない!」と爆発し、出ていってしまう。(“Chess Match #1”)
(続く)
第2幕
(“Golden Bangkok”)
(続く)
オリジナル(WE版)との違いメモ
トラブルメーカーはフレディから「魂のない政府」へ
オリジナルではフレディが物語のトラブルメーカーで、傲慢と身勝手で周囲を引っ掻きまわす悪役です。
2025年版では、真のトラブルメーカーは、強大な力を持ちイデオロギーに凝り固まって理不尽な要求をしてくるソビエトの上層部や軍部ー「ソビエトが一番でなければならない」とか、気に入らないことがあると「核削減条約を結びたくない」とか、演習だと言っているのに「攻撃してくる気だ」と核ミサイルのボタン押そうとするとかーで、チェスの国際試合の結果でそのご機嫌が変わる。フレディは(決して良い人間ではないですが)ソビエトとの駆け引きのスケープゴートにされ、王座から降りざるを得なくなります。キングすらもただの駒として扱われる状況がより明確になり、このミュージカルのテーマに合った改訂だと思います。
「粛清」エピソードの導入
フレディに負けたソビエトのグランドマスター、ボリス・イワノビッチが秘密裏に「消された」というエピソードが加わりました。(負けたスポーツ選手が粛清されるのは冷戦時代のソビエトで実際にあったことのようです。)これが物語に
ソビエトチーム、特にモロコフにとってはどんな手を使っても「絶対に負けることはできない」動機となり、フレディにとっては自分が勝てば相手が死ぬという大きな精神的ダメージと怒りの根源になります。フレディがこれをマスコミに訴えても妄想的暴言と誤解され攻撃され、さらに深傷を受けることになります。またフレディの発言は政治的に利用され、ソビエトがこの暴言をきっかけに核削減条約締結の席を蹴り、結果としてCIAとKGBが結託してフレディを潰しにかかることになります。
女性の主体性の強化
新脚本では、フローレンスが聡明で自立した人間として扱われています。スヴェトラーナもまた、強い意志を持っています。女性はただ翻弄されるばかりの被害者ではなく、自分の意志を伝え、相手の言葉を受け取り、自分の道を選択する力を持つ存在になっています。
フローレンスとアナトリーは1年前に出会っている
オリジナルでは、出会ってすぐに恋に落ちて恋人も家族も捨てて一緒に亡命か、と驚かせるフローレンスとアナトリー(実際のチェスの国際大会は試合に数週間かかるそうですが)。新脚本では、1年前のストックホルム大会で出会っていて、アナトリーはフローレンスに、自分は結婚はしているが形式的なのものだ、という話もできるような心許せる間柄になっています。この出会いも双方の諜報機関には筒抜けになっていますが。
削除・変更された楽曲
1986年ウェスト・エンド プロダクションの曲目をベースに、曲の追加・移動・削除を記しました。太字が新脚本に残っている曲。
第1幕
Prologue
The Story of Chess(削除)
Difficult and Dangerous Times(移動)
Anatoly and Molokov / Where I Want to Be(移動)
Pity the Child #1(追加)
Merano
What a Scene! What a Joy!
Merano (Reprise)(削除)
Commie Newspapers(削除)おしい。悪口を書かれた新聞を一緒に読みながらいちゃいちゃするフレディとフローレンスを見てみたかった。
Press Conference
Anatoly and Molokov / Where I Want to Be(2番目に移動)
Difficult and Dangerous Times(1番目に移動)
The Arbiter
Hymn to Chess(削除)
The Merchandisers(削除)
Chess #1
The Arbiter (Reprise)(削除)
Quartet (A Model of Decorum and Tranquility)
Florence and Molokov
1956 – Budapest is Rising
Nobody’s Side
Mountain Duet
Chess #2(削除)
Florence Quits
Pity the Child(第2幕へ移動)
Pity the Child #2(追加)
Embassy Lament(削除)亡命受付の大使館員たちを描いたこの曲はファンが多いらしい。惜しがっている人をよく見かける。
Heaven Help My Heart
Anatoly and the Press
Anthem
第2幕
Golden Bangkok
One Night in Bangkok
(He Is a Man He Is a Child)(新曲)
One More Opponent(削除)
You and I(The Interviewの次に移動)
The Soviet Machine
The Interview
The Deal
(Pity the Child)(1幕から移動)
I Know Him So Well
Talking Chess(セリフのみ)
Endgame
(Someone Else’s Story)(追加)
You and I (Reprise)
Finale(削除)
(続く)
2025年版CHESS 背景年表
『CHESS(2025)』の物語中の出来事、キャラクターたちが語った過去と、関連のありそうな歴史上の出来事を並べて年表にしてみました。プレビューで語られていたけれど本公演ではカットされた、アナトリーとフローレンスの生い立ちのエピソードが好きだったので入れておきました。
| 年 | 『CHESS』(2025)の中の出来事 | 歴史上の出来事(太字は物語にも出てくる出来事) |
|---|---|---|
| (P): プレビューにあり本公演ではカットされたエピソード | 1945年の第二次世界大戦終結後から 1991年のソ連崩壊までを米ソ冷戦時代と呼ぶ。 米ソは直接の戦争は避けたものの、核兵器の保有、 軍事力、科学技術、宇宙開発などあらゆる面で競い合い、 自国の優位性を示そうとした。 | |
| ? | フローレンス@ハンガリー (P)父親にチェスの手ほどきを受け、 才能を見出される アナトリー@ロシア 親から引き離され、チェス養成所で訓練を受ける。 (P)チェスが嫌いで6歳の時に脱走するが、連れ戻される | ソ連政府は、国際的なスポーツであるチェスで チャンピオンとなることが、他国より知的に 優れていることを証明すると考えていた。 そのため国策として強いチェスプレイヤーを養成した。 |
| 1956 | フローレンス(10) ブダペストに侵攻してきた ソ連軍に父親が連行され、母親は射殺される (P)難民として救済され米国の家庭に引き取られる | 1956年 ハンガリー動乱 |
| ? | フレディ(11) 全米チャンピオンになる フレディ(12) 父親が家族を捨てて出奔 フローレンス (P)米国内でのチェストーナメントで優勝するが、 国際試合ではソ連に対する怒りが抑えられないため 冷静に勝つことができず、選手からセコンドに転向 | 1958年 ボビー・フィッシャー(フレディのモデル)が 15歳でグランドマスターになる |
| 1972 | (メラーノ大会の7年前) フローレンスがフレディのパートナーとなる | 1972年 ボビー・フィッシャー 20年以上チャンピオンの座を独占していたソ連を破り、 世界チャンピオンとなる。 西側から見てこれは歴史的な勝利となり フィッシャーは「アメリカの英雄」として扱われた |
| 1978 | (メラーノ大会の1年前) ストックホルム大会 フローレンスとアナトリーが出会う | 1975年 ソ連のグランドマスター ボリス・スパスキー、 ヴィクトール・コルチノイが西側に亡命 1976年 民主党ジミー・カーターが大統領に |
| 1979 | 【第1幕】 世界チェス選手権 メラーノ(イタリア)大会 世界王者 フレディ 挑戦者 アナトリー フローレンスとフレディ 破局 フレディ 試合を放棄し引退 アナトリー 不戦勝により世界王者に フローレンスとアナトリー イギリスに亡命 | 1979年 SALT II 条約 調印したものの批准せず |
| 1980年 共和党ロナルド・レーガンが大統領に 1982年 ソ連のブレジネフが死去 アンドロポフが指導者に | ||
| 1983 | 【第2幕】 世界チェス選手権 バンコク大会 世界王者 アナトリー 挑戦者 ヴィガンド フローレンス アナトリーのセコンド フレディ テレビ局のチェス解説者 | 1983年 NATOが大規模軍事演習 「エイブル・アーチャー83」を実施 ソ連は米国が「演習」と称して 核の先制攻撃をしてくると考え、 核ミサイルの発射準備を進めていたが、 間一髪で発射は回避された |
| 1989年12月 マルタ会談で、米大統領ブッシュと ソ連書記長ゴルバチョフが、冷戦終結を公式に宣言 |
