ニューヨーク州オレンジ郡ミドルタウンはアーロンの生まれ故郷。2014年には彼の功績を讃えて、パラマウント劇場前の道がAaron Tveit Wayと命名され、プレートが取り付けられました。

マンハッタンから車で北に1時間半くらいの場所、ならば行ってみたいじゃないですか!
ただしレンタカーではなく、公共交通機関で。ひとり旅だし、運転苦手なので😅。

下調べ

マンハッタンからAaron Tveit Wayまで行くのには、Google Mapでは公共交通機関でのルートは鉄道しか表示されませんでした。(2023年現在はバスルートが表示されるようになっています。)

鉄道で行くとしたら?

ストリートビューを使って妄想旅行。ペンシルベニア駅から電車で2時間、ミドルタウン駅に着くけど、駅は町のすごい外れでタクシーもなさそげな田舎。詰んだ。
駅前中心に町がひらけているだろうという日本の常識は通じませんでした。どちらかというと、高速道路のバス停のイメージに近いかも。

ならばバスだ

以前アーロンがインタビューで、バスでニューヨークシティに来たと言っていたのを思い出して、バス路線をさがしたら、マンハッタンのポートオーソリティバスターミナルPort Authority Bus Terminalからミドルタウンの中心街にあるShortline Terminal Agency, 14 Railroad Ave.バス停まで、毎日Coach USAのShortlineバスが出ていました。

ストリートビュー ミドルタウンのバスターミナル(2016) Shortline Terminal Agency, 14 Railroad Ave.

出発地(Origin) New York  New York 行き先(Destination) New York  Middletown

と選択して検索すると、時刻表が出てきます。

2017年4月25日火曜日。夜にミスサイゴンを観に行く予定だったので大事を取って、行き7:50am→10:03am 帰り11:15am→1:30pmのバスででとんぼ返り。でも、ミドルタウンの町のお店がオープンするのは軒並み11時からだったし、バスはおおむね定刻通りだったので、帰りは1:20pm→3:33pでもよかったかも?

ミドルタウンのShortline Terminal, 14 Railroad Ave.バス停から、Aaron Tveit Wayのあるパラマウント劇場Paramount Theather, Middletownまでは徒歩約7分。
道のりはグーグルマップのストリートビューで予習しておきました。

出発

7:00頃ポートオーソリティに着き、2階のショートラインのチケット売場でバスのチケットを買います。大勢並んでいるけれど、どんどん捌けて順番が来ます。

「あいどらいくとぅごーとぅみどるたうん」
「Middletown,NY?」
「(NY州以外にもミドルタウンあったね)いえーす」
「One Way(片道)?」
「(ううん)らうんどとりっぷ(往復)、ぷりーず」
往復で$41.30。「4階の403乗り場よ」とチケットにも書いてくれました。

エレベーターに乗って4階へ。ここが403乗り場。

発車時刻10分前くらいに改札が始まります。それまでみんなこのボードの右側に一列に並んで待っています。自由席なので、早く並んだ方が好きな席が取れます。でもほぼ全員が2人掛けの所にひとりで座れるくらいには空いていました。ちなみに進行方向に向かって右側に座った方が景色がよかった。

7:50am定刻に発車。マンハッタンの通勤ラッシュを抜けると、あとはずっとこんな感じ。あまりすれ違う車もありません。小雨なので緑がきれい。

ときどきGoogleマップで現在地を確認します。ミドルタウンは終点ではないようなので、乗り過ごすといけないからね。
途中2カ所パークアンドライドの停留所に停まった後、ようやくミドルタウンのバスターミナル。と言ってもほんとに小さな建物。チケット売り場とちょっとした待合所があります。

メインストリートからパラマウント劇場へ

ここがアーロンの生まれ故郷か〜。としみじみしながら、パラマウント劇場に向かって歩き出します。小雨が降っているけど心なしか温かい感じ。

小さくて静かな町です。メインストリートには銀行やオフィスの間に、ミニカーがたくさんおいてある古いおもちゃ屋さんがあったり、スイーツのカフェがあったり。横道に入るとアイスクリーム屋さんがあったり。朝なのでみんな閉まっていたけれど、かえって遠慮無くウインドゥを眺めながら歩くことができました。ささやかな繁華街を抜けるといよいよ見えてきましたよ。

右側の白い看板がバラマウント劇場。Aaron Tveit Wayのプレートは2015年に盗まれたそうだけど、元に戻っているかな…とドキドキしながら近づいたら

ありました。うれしい。パラマウント劇場と道を挟んで向かい側の駐車場の一角に立っています。旅のお供のマイク・ウォーレンのバックパックを入れて撮ってみました。

雨がそぼ降る中ひとり写真を撮りまくる私は、かなり不審な人物でしたね…。
さて、バスターミナルに戻ります。その前に寄りたいところがありました。

Middletown Thrall Library ミドルタウン・スロール図書館

私は図書館フリークなので、旅行先では可能な限りその土地の図書館に立ち寄りたい。

黄色いレンガとグリーンの窓枠の円い窓がかわいらしい、ミドルタウン・スロール図書館。
なんとここは昔の鉄道の駅舎だったそうです。そのときの写真がWikiにありました。

エリー鉄道のミドルタウン駅、1971年、現在はスラル図書館(Wikipedia)
館内もとてもすてき。ボランティアの人たちがたくさんスタッフとして働いていて、通りかかると「ハーイ」とにっこりしてくれます。

この日は学校の生徒たちが図書館の中をレクチャー受けながら見学していました。アーロンは読書好きだから、もしかして子どもの頃はこの図書館にも何度も来たんじゃないかしら!なんて思いながら、子どもの本の部屋や、

青少年向けの小説のコーナーを見てきました。

図書館でゆっくり過ごして、ちょうど1時間。バスターミナルに着いたらすでにバスが来ていて、外で待っている運転手さんに帰りのチケットをもぎってもらいます。

私の前に乗り込んだ黒人女性は胸もおしりもバーンと大きくて、体積が私の2倍はありそう。単に太っているという意味ではなくて、人種の違いってもう基本的に体格そのものが違うんだな。そんな当たり前のことを初めて実感しながら続いて乗り込みかけたら、彼女がバスの細い通路にひっかかってしまった。おっと、と止まって待っていたら、彼女はこちらを向いて、低くて渋い声で
「ごめんなさいね、ベイビー」
まるで「ヘアスプレー」のモーターマウス・メイベルみたいにかっこいい。
「大丈夫です、ma’am」
しかしこの歳でベイビーと呼ばれる事になるとは…😂

というわけで約半日のミドルタウンへの小旅行はおしまい。穏やかでいい町でした。こんなところで育ったんだねー、アーロンは。と実感できて、満足満足です。