あらすじ

スティーヴィー・ハリスはレジェンドと呼ばれるほどのバスケットボールの神童だったが、今はホームレスのジャンキーに落ちぶれていた。

バスケのコーチ、レイ・マスターズのバスケ殿堂入りの式典に乱入して治安紊乱罪で逮捕され、子どもの頃コーチに性的虐待を受けていたと訴えるが留置所内で麻薬の禁断症状により昏倒。搬送された病院から警備のすきをついて逃走した。後を追ってきた刑事のフィンとアマーロに「レイはまだ子どもたちのそばにいる」「話せば楽になる」と説得され、重い口を開く。

スティーヴィーはレイの少年バスケットボールチームに所属していた9歳から15歳までの間、遠征の時にコーチから性的虐待を受けていた。コーチからは大学の奨学金を得られるよう手助けすると言われて誰にも相談できなかった。15歳になった頃にコーチは新たなお気に入りを見つけ虐待は止んだが、何もかもうまく行かなくなりクスリ漬けになった。その後はコーチから毎月支払われる口止め料で生きていたが、誕生日を境にその支払も止まってしまった。

性的虐待については23歳の誕生日で時効だったが、それまでの間口止め料を払っていたのなら事件になる、と刑事たちは他の証人を探して聴き込みを始める。しかし誰も被害にあったことを認めようとはしない。

リハビリセンターに送られてクスリを抜き更生を始めていたスティーヴィーは、生きる希望を見出していた。コーチの件が片付けば人生をやり直せる、と語る彼に、刑事たちは教え子は皆コーチに助けられたと言っている、口止め料をもらっていない証人が必要だ、と告げる。スティーヴィーは言いよどむが、自分よりもひどい目に合っていたルームメイトがいたと明かす。それはNBAのスーパースターで、ビジネスでもタフでクールなブランドイメージで成功している、プリンス・ミラーだった。

刑事たちがプリンスに聴き込みに行った直後に、スティーヴィーにプリンスからクラブで話したいと8年ぶりの連絡が入る。彼らはクラブの入口で口論となる。真実を話せと言うスティーヴィーに対しそれは嘘だ、ジャンキーは黙ってろと突っぱねるプリンス。刑事たちが駆けつけたときには、スティーヴィーはプリンスの護衛に散々に殴られ、止めに入ったアマーロに捨てぜりふを吐いて夜の街に消える。

翌日、連絡の取れないスティーヴィーを案じるアマーロのもとに、彼の遺体が発見されたという電話が入る。左腕にいくつもの注射痕があったため、ジャンキーがクスリを過剰摂取した事故と処理されそうになったが、刑事たちは口封じのために無理やり注射を打たれて殺されたのではと捜査を続ける。そしてついに動かぬ証拠を見つける。

視聴方法 LAW & ORDER:性犯罪特捜班 シーズン13 第2話 勇気ある告白


アーロンがゲスト出演した中でも好きな話なのでつい解説が長くなってしまった…。

スティーヴィーは元バスケの名選手だったジャンキーで複雑なバックグラウンドを持つ、いわゆる汚れ役だ。アーロンは自分が持っている爽やかなイメージとはかけ離れたこの青年を好演している。「爽やかな青年がジャンキーになるまで」の様子を描いたこんなビデオも。(やや音が悪くて大きいので注意)

レ・ミゼラブルを観た後にこのエピソードを観たので、スティーヴィーは、自分は死んでしまうけれど後の多くの少年たちを救うきっかけになったところが、ちょっとアンジョルラスに似ている、などと拡大解釈をしたものだった。

それにしてもこの死に顔のあどけなさは反則。レミゼのアンジョルラスの最期といい、アーロンには死に顔のきれいな俳優No.1の称号をさし上げたい。

アマーロ刑事役のダニー・ピノとは、2016年にブレインデッドで再び共演している。