2021年7月18,19日、マサチューセッツ州ピッツフィールドにあるバリントン・ステージ・カンパニーで、アーロンのソロ「ライブ」コンサートが行われました。
COVID-19のためにBWがシャットダウンしてから実に16カ月ぶりの生コンサート。19日のライブは収録されて、2カ月後の9月9日-12日、全世界に向けてオンライン配信されました。
バリントン・ステージ・カンパニーは、アーロンが2007年に「カルバン・バーガー」、2017年に「カンパニー」を演じたリージョナルシアター。長年にわたって良質な作品を輩出し、観客や支援者と良い関係を築いており、今回のコロナ禍でも多くの支援を得ていち早く復興した地方劇場です。
今回は、若手の演劇人の育成ための寄付を募るガラでのライブ。世界中のファンからの熱い願いに応えて、配信も決定。配信には字幕もついていて、リスニングが苦手な私には、歌詞やアーロンが話していることがはっきりわかるのが本当にありがたい。
セットリスト
- Live In Living Color (『Catch Me If You Can』より)
- I’ve Been (『Next To Normal』より)
- Do You Remember? (Benj Pasek & Justin Paul , 『Peter Pan(未完)』より)
- Marry Me A Little (『Company』より)
- Falling (Harry Styles)
- レミゼメドレー I’ve Dreamed A Dream / On My Own (一節) / Bring Him Home (フル)
- Thunder Road (Bruce Springsteen)
- Why God Why(『Miss Saigon』より)
- Sandy (『Grease』より) / Heart and Soul (Hoagy Carmichael) マッシュアップ
- If I Loved You (『回転木馬』より)
- Us (James Bay)
- How Glory Goes (『Floyd Collins』より)
- Goodbye (『Catch Me If You Can』より)
- アンコール Your Song (『Moulin Rouge!』より)
オープニングは『Catch Me If You Can』からLive In Living Color。まるで白黒番組のようだった長い隔離期間が明けて、天然色の世界が戻って来たような、幕開けにふさわしい曲。
2曲目のI’ve Been はElsie Festで歌ったバージョンで「正確にはNext To Normalではないけれど、N2N的な歌」と解説しています。ミュージカルの中の歌とはメロディーが一緒でも歌詞がかなり違うのが字幕のおかげでやっとわかりました。
ミュージカルではこれはパパのダンの歌で、ダイアナが自殺を図った後、彼女が自分を残して行ってしまうことへの恐怖とそれでも諦めないことを歌っています。今回はTom Kit Bandで歌われたバージョンで、人と共にいることで傷つき疲れ果てたけれど、ひとりになったことはないし、なれない、という感じの歌詞。ダイアナ視点の歌なのかな。意味合いがちょっとBeing Aliveに似てる感じがしました。
3曲目のDo You Remember?は、ララランド、グレイテストショーマン、ディアエヴァンハンセンの作曲家デュオ、Benj Pasek & Justin Paul の曲。アーロンがBSCで『カルバン・バーガー』を演じたときのミュージックディレクターがJustin Paul だったそう。
彼らはこの曲を「少しダークな」ピーターパンのミュージカルを作ろうとして書いたそうです。しかしファインディングネバーランドの制作発表や他にもピーターパン作品が作られたので、やっぱりやめた、と当時の記事に書いてありました。それでもこの曲は歌い手の心を掴むのか、これまでにDarren CrissやGavin Creelも歌っています。
歌詞を読んで想像すると、歳を取ったウェンディのところにピーターがやって来る。空を飛んで魔法の島に行ったこと、太陽の光、妖精の粉、交わしたキスを覚えてる?と問いかける。けれど彼女は彼のことを思い出せない。彼女がどうしたらいいか分からなくなって困った時にする仕草は子どもの頃のままで、ピーターはそれすら覚えている。たくさんの子どもたちがやって来ては去っていったけど、彼は彼女のことしか覚えていない。覚えていると言って。思い出して、僕のことを。と彼女の失われた記憶を呼び起こそうとするような切ない歌でした。
4曲目はあのMarry Me A Little。BWの灯が消えた先の見えない隔離期間の始まりの時期に、ソンドハイムのお誕生日を祝って開かれたオンラインコンサートでアーロンが歌った曲。もちろんこのバリントンステージでアーロンがボビーを演じたCOMPANYの中の曲です。誰かと親密に関わりたいという願いと深く関わることへの恐れという相反した想いを乗せて、ボビーが歌う名曲。
5曲目はHarry StylesのFalling。アーロンが「僕はHarry Stylesの大ファンで」と言ったら会場がちょっとどよめいたよね。
6曲目はおなじみのレミゼメドレー。アーロン「何にしようか」ブライアン「娼婦の歌は?」アーロン「娼婦って…ファミリーショーだよ」ってちゃんと釘を刺してていいですね。でも歌う、ファンティーヌのDream of Dream。そしてエポニーヌになりきってOn My Own。それぞれさわりを歌うといよいよBring Him Home。何度もキーを下げるコントを入れるけど、元のキーはアーロンでも大変なほど高いのかな?すごいなコルム爺。Bring Him Homeは、以前WHB PACのコンサートでフルで歌った時と比べると、ずっと父親っぽい歌い方になりました。American Horror Storiesで初のパパ役をやったからかなー。(WHB PACのときは、アンジョルラスが「みんなを家に帰して」と歌っているみたいだったんですよ。)
7曲目Thander Roadと8曲目Why God Whyは、このライブいちばんの聴かせどころでした。アーロンの声の伸びと、シーンを彷彿とさせる表情が最高。
続きはまた後ほど。
ちなみに12曲目の『Floyd Collins』からのHow Glory Goesは、2009年4月の「PLAYBILL.COM’S CUE & A: Aaron Tveit」でFavorite show tune:大好きなミュージカル曲だって言っていました。『Floyd Collins』は美しい曲が多いですね。